ドイツの先生方のワークショップ01
ドイツの先生方のワークショップ02
というのがキーワードだそうで、
"Me and my Father"という課題もその流れを汲むものでした。
それをその通りに遂行する従来の劇の形から、
予定調和ではない、演技なのか、素の反応なのかわからない、
そんな「生の、本当の」演者の反応を、そのまま劇として楽しむというコンセプトです。
それに伴う演者たちの生のエピソードや振る舞いを白日の下にさらす試みといったところ。
リア王をモチーフとした"TESTAMENT"という作品で、2010年には"Wild-Card"賞を、
また2011年にはゲーテ・インスティテュートからも賞を得たようです。
そこで、あまり公に話すことがはばかられるような、例えば「お父さんが死んだら自分は何を相続したいか」なんてことが赤裸々に語られていきます。
しかもそんな微妙なテーマについておおっぴらに話すなんて。。。
想像しただけでも妙な気持ちになりますが、
まさしくそういった「素のやりとり」をうまく舞台と統合した作品になっています。
こう考えると、「劇/舞台」なのか「パフォーマンス」なのか。。。境界があいまいに感じられますな。。。
さて、では学生のパフォーマンス(舞台?)の"Me and My Father"について。
これは3つほどのパフォーマンスから成っており、まずは入場し、モデル役の学生に自分の父親の服を着せるところから始まります。
服を着せ、父親の立ち姿(または寝姿)を詳しく指南します。
野球をこよなく愛する父親、決まったブランドの服しか着ない父親、
かわったパンツを集めており、まわりからプレゼントされ数が増えてしまった父親↑。。。
よくぞこんなに個性的な父親が集まったもんだな、と感心しきり。。
向かって左の学生は、父親の靴下を右のモデルさんにはいてもらおうとしますが。。。
そればっかりは。。と頑に拒否されています。
こういったやり取りもすべて、台本がある訳ではなく、彼等のその時の素のやりとりです。
その後学生達は後ろ側に移動し、
父親との楽しかったエピソードをそれぞれ表現します。
キャッチボールや、釣りでのエピソード、
カメラを選んでもらったこと、花札で遊んだこと。。。
その後、それぞれバラバラに椅子に戻り、
楽しかったエピソードをつぶやきます。
そうしてみんなが話し終わったところで、父親によくかけていた言葉、
例えば「いってらっしゃい」「おやすみ」等等。。。
をみんなで発して、舞台は終了です。
なかなかブログでお伝えするのは難しいのですが、見ている私たちにとっても、演じている学生にとっても心の何かを刺激する、味わい深いパフォーマンスでした。
最初、「自分の父親との関係がよい人、そうでない人、まあまあな人(それについて言及したくない人)」に別れたのですが、圧倒的多数が「父親との関係がよい」グループであったので、ハンス先生も驚かれていました。ドイツでこの問いを投げかければ、おそらくあまりよい関係を持っていない学生が大半だろうとのことです。
とても個人的なテーマであるからこそ、心くすぐられる、そして表現の分野に一石を投じるワークショップでした。