2013/11/17

「書物紙 ~ 本という官能の襞」by SQ-54


11月の某日、清澄白河の東京都現代美術館にてひらかれたレクチャー(になるのかな?)に行って参りました。
「書物紙 ~ 本という官能の襞」と銘打った、文字通り書物の誕生からその発展の歴史を、2時間で概観してしまおうというものです。
SQ-54(スクエアごじゅうよん)主宰の、美術史や比較文化論等を大学で講義してらっしゃる田川とも子先生の、おもしろいところがぎゅっと凝縮された2時間の「ライブ」(ご自身は講義のことをこう表現していらっしゃるとか)でした。

たまたまこのライブを知り、2日前くらいに慌てて予約。
上の写真にもちょっと写っている通り、手書きのレジュメと画像たっぷりの資料、
そしていくつかの実際の本たちを見せてもらいながら、木の根にキズをつけ記したものが発祥とされる書物の歴史を伺いました。

古来は紙ではなく、粘度版であったり、木簡であったり、羊の皮に記されてきた文字情報が、時代が進むにつれ発達した技術や、種々の発想の転換により、現代の書籍に近づき、さらには現在、質感のある紙の本ですらなくなり、「情報」の集合体としての電子書籍になっていく様は、一望してみると思った以上に血と汗と涙にまみれた歴史なんだと思いました。
シュメール文化やエジプトのヒエログリフ、グーテンベルクの活版印刷等、あ〜なんだか学生の時に習ったな。。。という単なる暗記目的で覚えた単語の裏に、まさかそんな人間臭い(?)試行錯誤が隠されていたとは。

個人的に面白いと思ったのは、約2200年前に、当時すでにアレクサンドリア図書館を有するエジプトからのパピルス(当時の書物、巻物状)の輸出を拒まれたペルガモン王国(現在のトルコ辺り)が、困り果てた末に巷にあふれていたヤギや羊の皮革を代わりに用い、羊皮紙を作り上げたという下りです。困った末に知恵を絞り、結局はこの羊皮紙の登場が、書物の歴史を一段上に押し上げることになりました。

田川先生はそれを

「欠」けているものがあったとしても、
そこから目をそらさず、向き合って行けば、「次」に繋がるのだ

とおっしゃっており、まさに目から鱗。

な、なるほど〜〜と唸った日曜の午後になりました。。。


* ちなみに上の写真はそのときに見せて頂いたドイツはマインツにあるグーテンベルク博物館で先生が約20年前に購入したという直径1センチほどの「本」なのです。
この中にもびっしり印刷が施されており(肉眼では細かい内容はわからないほど小さい)、現代の印刷技術の高さを垣間みることができました。


デザイン事務所 mi e ru


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